嫌な記憶や感情を繰り返し思い出す。思い出したくないのに、反芻することで晴れない気分が続く。自分の力ではどうにもならないこの感情。嫌な出来事はもちろん気分を害するけれど、今となっては何度も心に巡らせる自分にもイライラする。そんな時は「記憶の仕組みを意識することで考え巡らせることを中断する方法」を試して頂きたい。
「気分なんて捉え方次第だ」….と言われても、そんなことはわかっている。わかっているのに止められない思考があるから困っているのだ。そこで、心の力だけではなく、記憶の仕組みを知り、論理的に考えることで執着を一時ストップさせ、その停止時間を伸ばしていけたら、、、そんな思いであなたのネガティブな記憶のサイズダウンにトライしてください。
どうすればこの執着を解くことができるのか?
過去を消すことなどは現実的ではありません。
過去への捉え方を変える…ということができればいいのですが、それが簡単にできないから苦しい思いをしてきたのです。だから、それはちょっと横に置いておきましょう。
ただ、ここで1つ確認しておいて欲しいことがあります。
それは、記憶を繰り返す思い巡らせることはあなたのメリットになっていないか?ということです。
???…..かもしれませんね。
たとえば、
何度も思い出すことで
・時間を埋めている
・自分を罰するということで、自身への戒めとしている
….など、気分は良くないけれど、何らかの形で自分のためになっているようであれば、アクセルを踏みながらブレーキを踏む感じになるので効率が悪いです。ここのところ、振り返った後、この先を読み進めてくださいね。
繰り返すこと記憶は変形する
私たちの記憶というのは本当に不確かです。同じ場面を見た人でも、後でインタビューをしてみると全く違った内容が語られることがあるくらいです。それに加え、その記憶が事実に相違ないとしても、繰り返し思い出すことで、記憶が変形されることがあります。
というのは、
過去を思い出す時、記憶とともに、今ここのネガティブな感情が加わり、それが積み重なります。そして、記憶へのネガティブな感情が膨らんだ上に、また思い出すことが繰り返されます。
これが続くとどうなるでしょう。
例えば
TVドラマを観ていて、ネガティブな記憶と似たシーンが出てきたとします。私たちは、登場人物と自分を重ね合わせることがあります。そこで感じたネガティブ感情が自分の記憶に追加されることがあります。人の記憶というのは、起きた当時の感情とその後に加わった感情やその回数、強さによって変容していきます。つらいことを何度も思い起こし、つらさを感じることで雪だるまを転がすように大きくなることがあります。
過去のリアルな事実を思い浮かべ辛くなっているようでいて、実はその後に抱いた新たな感情が追加されたことによってしんどい思いをしているとしたら….。この仕組みを知ることで、客観的にご自身を振り返ってみることができるように思います。
記憶はこうしてよみがえる
記憶というのは、
楽しい時には楽しいことが思い出され、
悲しい時は悲しいことが思い出される
という傾向があります。(気分一致効果)
これは何を意味しているかというと、「今ここ」の気分によって記憶の浮上の仕方が左右されるということです。今ここの気分がよければ、ネガティブな記憶は思い出されにくいということです。
こう考えると、過去への執着を消そうと考えるよりも「今ここ」を心地よく過ごすための工夫する方が賢明であり効果的だと思えてきませんか?
執着を放すための第一歩
今までネガティブな記憶を再生成させていたのなら、
それを一旦ストップさせよう….
そして
気分よく過ごす自分を選択しようと決めること。
「今ここ」のあなたには、気分切り替えの選択が委ねられています。
ただ、
気分の切り替えなんて言われても、簡単にできることではない….という人がほとんどだと思います。「心を入れ替える」という表現がありますが、難しい話です。
そこで、気分より行動に視点を置いて考える「行動優先・感情放置」をおすすめしています。気分がどんな状態であっても、体を動かすことでその行動に気分がついてきて、少しづつでも変化が望めます。
このことについてはこちらを参考になさってください。
≫≫どうしようもなく落ち込み、動けない時に試して欲しいこと
※過酷な記憶がトラウマとなり、思い起こすことを止められないという人もいらっしゃると思います。そのような方は、ぜひトラウマ専門治療を検討なさってください。