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「はい、やります」と自ら役を引き受けて下さる方が、たまにいらっしゃいます。
サークルや自治会などの集まりでは、役を逃れたい人が多い中、そういう方の存在は助かります。
しかし、
初めの数回はイイとしても、
いつも同じ人になってしまうのはどうでしょう?
まぁ、それも
「引き受ける人が良ければイイんじゃないの?」
という考え方もありますが、本当にそうでしょうか?
実のところ、
誰もが思っていながら、口には出さない不都合があるように感じます。
そこで今月は、
引き受ける側になりやすい人の本音や、役を迫られた時の対応策を考えます。
——-
この件について私自身、
以前は、大して気にしていませんでした。
というのも
経験の為、関係づくりの為に…
と率先して引き受ける積極的な人もいるだろう
…と無自覚に思っていたからです。
ただ、いつも引き受けている方が我慢しているなら、
そのままでイイというわけには行きません。
引き受けない勇気や
応じるにしても、
より効果的な返答の術を用いて臨むほうがいいのではないか?
と思うようになりました。
そう思い始めたのには、キッカケがあります。
それは、人間関係に悩みを持つ人が不本意に
「引き受ける側」になっていることがあると気づいたからです。
カウンセリングの中では、
職場やママ友関係で起こるケースを耳にします。
不本意な例について、
私は相談者との間でこんな話をして、状況の共有を図ります。
よくある、
頼まれごとへの反応についてです。
仕事終わりのシーンを想像しながら読んでください。
同僚のBさんは、定時直前になって
「ねぇねぇ、まだ仕事が残ってるんだけど残りを手伝ってくれない?」
…としばしば声をかけて来ます。
Aさんは、いつも快く手伝っていました。
しかし、
他の同僚たちはというと、用事がある時は断り、無理のない範囲で手伝っていました。
そんな日の翌朝、手伝ってもらったBさんは、Aさんには軽くお礼をいうだけなのに、他の同僚へは丁寧に感謝の気持ちを伝えている、、、
その様子に、Aさんはいつも貧乏くじを引いた気分になるというのです
この話は、私がこれまでお聴きしたケースをまとめ、作り直したものです。
これを聴いた相談者からは、こんな言葉が返ってきます。
「このAさんは、正に私のことです!」…と
そして、これだけでなく
友人との約束では、予定を変えて相手に合わせたにもかかわらず、他の友人の予定で簡単に日程が変更されるなど、こういう経験は何度もあるといいます。
「我慢して相手に合わせる自分より、他の人が感謝されたり、優先されるのはどういうことなんだ」…と不満は続きます。
普通に考えると、
無理な頼みを引き受けてくれたり、予定を合わせてくれる人の方が感謝されそうです。
でも、実際のところは、違っている。
では、
そこで何が起きているのか?
このケースだけを観て、
一概には言えませんが、このやり取りから、見て取れるものがあります。
それは、
いつも頼みをきいてくれるAさんが軽んじられる一方、
自分の都合にあわせて、対応する・しないを決める人の方が有り難がられる…ということ、
ここから
いつも頼みをきいてくれる人は、「応じてくれて当然」というポジションに就いてしまうという傾向です。
ことの良し悪しは別にして、
継続が慣れを引き起こすのは、物理的にも心理的にもあることです。
この点で、
Aさんのように、我慢し続ける人は要注意です。
ただ、我慢してまでも応じてしまうことにはメリットも含まれるのでしょう。
この件について、
相談者からよく聞くのは、身を守る手段の一つだということ。
身を守るというのは、
・仲間に入れてもらえる
・困った時、助けてもらえる
・相手の不機嫌さを避ける
(顔色をみる)
身を守る姿勢が、相手の要求をのむという形で表れるのは、長年かけて築かれた人間関係の術なのでしょう。
ただこれは、効果はあるものの、苦痛も伴うわけです。
そして、
長年続けることで、その苦痛は大きくなって限界が来ます。
人間関係についての姿勢を考え直すということも大切ですが、それには時間がかかります。
そこで、
その姿勢について考えつつも、まずはスグにできる具体策を一緒に考えます。
複数人に向けて頼まれごとを迫られた時、
試みることとして挙がる案が、コレ…
「スグに引き受ける…と返事をしない」
ということです。
え?何それ?
そんなの当たり前じゃないの?
…と思う人は多いと思います。
しかし、
人間関係に悩む人はこれが難しい(>_<)
ここでポイントは「スグに」というところです。
「即答しない」ということに関しては、
この件に限らず、焦って返答を急いだため、
後悔するような結果を招いたということはよくききます。
相手に待ってもらうとか、
間が空いてしまうことに苦痛を感じる人が、想像以上に多いです。
即答しないことに加え、
もう一つ重要なのは、名指しされた後に、返答するということ。
例えば、「Aさん、あなたやってもらえる?」
と指名を受けた後から、検討してもいいという意味です。
このように、結果的に引き受けるとしても、
それに至る態度(タイミング等)をちょっと変えてみることで、
相手に与える印象がちがってきます。
与える印象が違ってくるというのは、
相手が感じる「感情的価値」の変化です。
感情的価値とは、相手の心に伝わるこちらの価値のこと。役立つ・役立たないとは別に、手伝ってくれる相手への好感度(有難味のようなもの)のことです。
これについては、
冒頭で「引き受けるにしても、より効果的な返答の術を」と表現した理由でもあります。
ずる賢い考えかもしれませんが、「自ら引き受ける」のと「頼まれてから引き受ける」のとでは、相手に与える印象が変わってくるということです。
加えて、これまで負っていた不本意な我慢を強いられることも避けられるはずです。
もちろん、自ら望むなら、率先して引き受けたらいいでしょう。
しかし、
いつも損な役回りをしているならば、軽んじられるような引き受け方はしたくないですね。
他人の役に立つというのは、もちろん理想的な関わりです。ただここで私が具合が悪いと感じるのは、相手優先が当たり前になって、自分の都合が後回しになっていないか?ということです。
これまでに、相手を優先することによって、守られるものがあったのかも知れません。
しかしながら、
あなたの負担を大して気にしない人の気持ちに添い、
犠牲心を募らせるのは、辛いです。
集団の場では、
気をつけていても力関係に不具合が生じ、
パワーバランスが崩れることがあります。
負担を負わせている方は気づきにくく、
残念ながら、負担を強いられている方からのアクションが必要です。
そんな時の処世術として、
返答する時のちょっとした意識やコツを思い出してもらえると幸いです。
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